ドビュッシーの夢(無禄の打ち込み)

偉人鉄人超人

画像や写真は wikipedia に掲載されたパブリックドメインの情報を転載しました。

作曲家の死後70年が経過した楽曲を自分なりにアレンジしたスコアにして、それを打ち込みのDTMプレーヤーで公開するのは、対象となる楽曲がパブリックドメイン (public domain) であるため『合法』とされています。つまり、作者の没後70年が経過した作品には「著作権」は失効しているのです。

筆者「無禄」が崇拝する作曲家であるドビュッシーが他界したのは1918(この記事を書いている2024年の100年以上前)ですから、彼の作品の著作権は失効しています。同時に、ドビュッシーの作品は全て public domain にあるものです。

今回の話題はドビュッシーの「夢想(Rêverie)」という楽曲です。

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MuseScore への打ち込み手順

MuseScore は、これまで筆者が触れてきたDTMのアプリの中でも最も質の高いアプリです。打ち込んだスコアのバランスは抜群で、プロの採譜と比べてもほとんど遜色がありませんし、ストリングスを中心にプレイバックできる音源は洗練されていて、本物の音に限りなく近いクオリティーを実現しています。

しかし、MuseScore にも限界はあります。どんな作品であれ、ピアノの独奏曲をそのまま MuseScore (以下 MS)に打ち込んで音にすると、右手と左手の音のバランスが今ひとつなので、違和感を感じます。

思うに、演奏家がピアノ曲を奏でる時には、非常に微妙で無意識ではあるものの、右手の旋律は左手の伴奏よりもやや強めに、あるいは印象的に演奏されているはず。

DTMのアプリは、通常右手部分(一般的にはヘ音記号の5線上の音)も左手部分(上部のト音記号の5線上の音)も全て同じ音圧や強さで演奏してしまうので、それを聴く我々は左手の伴奏が強すぎて不快感を感じるのです。

もう一つの問題は、譜面上の重音が必要以上に強調されてしまうことです。重音とは、全く同じ音がスコア上で2つあると、その音だけが異常に強く表現されてしまいます。ピンポイントでフォルテがかかってしまうのです。

これらの不具合を解消するには、同じピアノ譜面のテンプレートを上下に2つ用意しています。つまり上下に2段、合計4段の譜面にするのです。そして上段は主旋律を打ち込み、下段には伴奏となる左手部分を打ち込むわけです。

こちらが2段にしたスコアの画像です

上段と下段の音の強さはそれぞれ独立して設定できますから、下段を微妙に弱めに設定すれば、より人間の演奏らしい音になるように調整することができるのです。こうすると、ピアノ曲がより自然に耳に入ってきます。

重音については、上下段の何かの音をピアノかピアニシモにするか、ピンポイントでクレッシェンドを使用すれば、異常な強調の不具合を解消できます。

左手のパートを加工

この曲の主題は、夢想ですから、出来上がる音楽の色調としては、ある程度フワッとしたものが好ましいと考えました。ただし、主旋律まであやふやになるのは好ましくない。

そこで、左手のパートに当たる部分は思い切ってエレクトリックピアノ(エレピ)の音色を選んでいます。主旋律に当たる右手のパートはグランドピアノの音色を温存して、キリッとした表現がふわふわ感の中でストレートに伝わる雰囲気を残しました。

単純な作品と表されているが、筆者が思うに、この作品ほど複雑な工夫を凝らしてピアノ曲として可能な多くの表情を見せてくれている。35小節からは左手と右手のパートが逆転して、低音が旋律で高音が伴奏となるので、譜面上でも位置をひっくり返して作者の意図をはっきりさせてみました。

59小節から変調して雰囲気が変わりますが、特に71小節目からの5小節はリタルダンド(徐々にゆっくり演奏する部分)する部分ですが、ここはピアノの音だけに絞っています。

何度も演奏速度が変化する曲ですが、MuseScore には演奏テンポを随時指定できるように設定されているので自由自在にテンポを切り替えて、リタルダンドと組み合わせることが可能になっています。これは今までのDTMのアプリでは簡単には表現できなかった。

出来上がった譜面(PDF)と音声をアップしておきます。筆者の趣味でベース音を加えており、厳密にはドビュッシーの譜面そのままではなく、編曲したものです。ただし、筆者(無禄)は特に著作権を主張するつもりはありませんので、ご自由にダウンロードするなり参照するなりしていただいて結構です。

フランス語版 wikipedia から

1890年に作曲された「夢想(Rêverie)」は1891年にショーデン社から出版され、1895年11月16日付の『イリュストラシオン』誌(第2751号)の音楽付録として掲載され、その後1905年にE. フロモン社から再出版された。

クロード・ドビュッシーは、1905年にフロモン夫人宛てに書いた手紙の中で、この楽譜を「重要ではないもの、ハルトマンに便宜を図るために急いで作ったもの。簡単に言えば、出来が悪い」と評している。

ドビュッシーの酷評にもかかわらず、この作品は非常に有名で、最初の公演は、1899年2月27日にピアニストのジェルメーヌ・アレクサンドルによって行われた。

多くの編曲が記録されている。特に、アルベルト・バッハマンによるヴァイオリンとピアノ用編曲(1912年、フロモン社)、アンリ・ウーレットによるピアノ連弾編曲(1913年、フロモン社)、フェルディナンド・ロンキーニによるチェロとピアノ用編曲(1914年、フロモン社)などが挙げられる。

音楽学者ハリー・ハルブライヒは「夢想」を、「非常に魅力的で響きの良い小品(平均演奏時間は約5分)。やや単純だが確かな旋律美があり、ピアノ書法が優雅で軽やか」と評価している。

また、この作品が「誰もが感傷的な感覚に甘えたがるために、特に有名になった」と述べる評論家もあり、「甘ったるい一面を隠すには名演奏家が必要だ」と言われている。

作品カタログを編纂した音楽学者、フランソワ・ルズールによれば、ピアノ曲としての作品番号はL 76(68)。

出典:https://fr.wikipedia.org/wiki/R%C3%AAverie_(pi%C3%A8ce_pour_piano)

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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